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【2026年度】障害福祉の処遇改善加算Ⅰイ・Ⅰロの違いと要件|奈良の事業者様へ

 

「処遇改善加算のⅠイとⅠロは、何が違うの?」
「年収460万円の職員がいないと取得できない?」
「今ある規程や職場の取組で、要件を満たせるのか知りたい」

処遇改善加算には、賃金改善、キャリアパス、職場環境の整備など、複数の要件があります。制度改正もあるため、どこから確認すればよいか迷う事業者様もいらっしゃると思います。

この記事では、児童発達支援・放課後等デイサービス・障害者グループホームなどを運営する奈良の事業者様に向けて、Ⅰイ・Ⅰロの違いと、取得に向けて整えたいことを解説します。

※2026年10月2日時点の公表資料に基づき、2026年6月以降の「福祉・介護職員等処遇改善加算」を説明しています。介護保険の処遇改善加算とは異なります。また、計画相談支援・障害児相談支援・地域相談支援には別の算定要件があります。

 

1.処遇改善加算Ⅰイ・Ⅰロの違い

Ⅰロは、Ⅰイの要件に加えて、生産性向上・協働化の取組と、基本給等による賃金改善について追加の要件を満たす区分です。

確認する要件 Ⅰイ Ⅰロ
加算額以上の賃金改善 必要 必要
月額賃金改善要件 加算Ⅳ相当額の2分の1以上を基本給等の改善に充てる 左記に加え、原則として加算Ⅱロ相当額の2分の1以上を基本給等の改善に充てる
キャリアパス要件Ⅰ~Ⅴ 必要。代替措置・サービス別の例外あり 同左
職場環境等要件 必要 必要
職場環境改善の取組の公表 必要 必要
令和8年度特例要件 Ⅰイの取得自体には必須ではない 必要

 

 

Ⅰロの追加要件を満たしていても、Ⅰイに必要なキャリアパスや配置等の要件が不要になるわけではありません。

まずⅠイの要件を確認し、そのうえでⅠロの追加要件に対応できるかを整理すると、準備を進めやすくなります。
出典:厚生労働省・こども家庭庁通知「処遇改善加算の要件」

 

2.月額賃金改善要件とは?「年度末にまとめて支給」だけでは足りません

Ⅰイ・Ⅰロでは、加算額以上の賃金改善に加えて、一定額以上を基本給や毎月の手当による改善に充てることが求められます。

Ⅰイは「加算Ⅳ相当額の2分の1以上」

Ⅰイを算定する場合でも、仮に加算Ⅳを算定した場合の金額を計算し、その2分の1以上を基本給等の改善に充てます。

Ⅰロは原則「加算Ⅱロ相当額の2分の1以上」も確認

児童発達支援・放課後等デイサービス・共同生活援助でⅠロを算定する場合は、仮にⅡロを算定した場合の金額の2分の1以上を、基本給等の改善に充てる要件も満たします。

実際に受け取るⅠロの加算額の半分、と一律に考えないことがポイントです。

また、Ⅳ相当額の半分とⅡロ相当額の半分を足して支給する意味ではありません。同じ賃金改善の実績について、それぞれの基準を満たすか確認します。

※Ⅱロの加算率が設定されていない一部のサービスでは、Ⅰロの加算額を基準とする例外があります。

「毎月支払っている手当」なら何でもよい?

基本給等に含まれるのは、基本給と、制度上の「決まって毎月支払われる手当」です。通勤手当や扶養手当などは、この月額賃金改善要件の対象となる手当には含まれません。

そのため、加算による改善をすべて賞与や年度末の一時金で行う方法では、月額賃金改善要件を満たせません。

なお、2026年度の加算率引上げや上位区分への移行などによって増える加算額は、新たな賃金改善に充てる必要があります。過去の自主的な賃上げだけで対応済みと判断しないようにしましょう。
出典:国通知・賃金改善と月額賃金改善要件、国Q&A・問1-3

3.キャリアパス要件Ⅰ~Ⅴで整えること

キャリアパスは、職員さんが「どのように経験を積み、役割が変わり、賃金が上がっていくのか」を見通せる仕組みです。

Ⅰイ・Ⅰロでは、次の5つの要件を確認します。

要件 整える内容
Ⅰ:任用要件・賃金体系 職位・職責・仕事内容に応じた任用要件と賃金体系を定め、書面で整備して職員に周知する
Ⅱ:研修等 職員の意見も踏まえて資質向上の目標・計画を定め、研修と能力評価、または資格取得支援などを行う
Ⅲ:昇給の仕組み 経験、資格、一定の評価基準などに基づく昇給の仕組みを整備して周知する
Ⅳ:改善後の年額賃金 年額460万円に関する要件、または職場環境等の14以上の取組による代替要件を満たす
Ⅴ:配置等 福祉専門職員配置等加算など、サービスに応じた配置等要件を満たす

規程を作成した後の運用も大切です

例えば、「評価によって昇給する」と定めた場合は、評価基準や昇給条件を明確にし、実際に評価できる体制を整えます。

研修についても、計画書だけを作成するのではなく、実施・振り返りまでつなげることが必要です。

労働法規上、就業規則の作成義務がない小規模な事業所でも、加算の要件として必要な内容を内規等で整備し、周知する必要があります。

児発・放デイ・グループホームでは配置加算も確認

児童発達支援・放課後等デイサービス・共同生活援助では、キャリアパス要件Ⅴに関係する福祉専門職員配置等加算の要件・届出状況も確認します。

賃金や規程を整えるだけでなく、資格者の配置や勤務状況なども含めて確認することが大切です。

※居宅介護などの訪問系サービスでは特定事業所加算が関係します。短期入所など、配置等要件が不要とされるサービスもあります。
出典:国通知・キャリアパス要件Ⅰ~Ⅴ

4.年収460万円の職員がいなくても、取得できる方法があります

キャリアパス要件Ⅳは、原則として、経験・技能のある福祉・介護職員のうち1人以上について、賃金改善後の年額賃金の見込額を460万円以上とする要件です。

ただし、職場環境等要件の全体から14以上の取組を実施する方法でも、キャリアパス要件Ⅳを満たすことができます。

「460万円の職員を配置することが難しいから、Ⅰイ・Ⅰロは取得できない」と、すぐに諦める必要はありません。

 

14項目を自由に選べばよいわけではありません

14以上の取組は、キャリアパス要件Ⅳの代替となるものです。

Ⅰイ・Ⅰロに必要な職場環境等要件の「区分ごとの取組数」や「必須項目」「取組の公表」も、別途満たす必要があります。同じ取組を使って確認できますが、総数だけでは判断できません。

配分対象と、460万円要件の人数は区別します

国通知では、処遇改善加算による賃金改善以前の賃金が年額460万円以上である職員は、この年額賃金要件の人数から除外されています。

一方、その職員を処遇改善加算の配分対象にすること自体は認められています。

「加算を配分できる職員」と「キャリアパス要件Ⅳの人数に数えられる職員」は、分けて確認しましょう。
出典:国通知・キャリアパス要件Ⅳ、国Q&A・問2-2

 

5.Ⅰイ・Ⅰロに必要な職場環境等要件

Ⅰイ・Ⅰロでは、原則として次の取組数が必要です。

区分 必要な取組数
入職促進に向けた取組 2以上
資質の向上やキャリアアップに向けた支援 2以上
両立支援・多様な働き方の推進 2以上
腰痛を含む心身の健康管理 2以上
やりがい・働きがいの醸成 2以上
生産性向上のための取組 3以上。⑱は必須

必須の⑱は、現場の課題の見える化です。例えば、業務上の困りごとを洗い出して整理する、作業時間を調べるなどの取組が該当します。

ほかにも、有給休暇を取得しやすくする取組、相談体制の整備、支援の好事例を共有する機会など、日々の業務に組み込める項目があります。

すでに実施している取組でも、要件に合っていれば継続して活用できます。毎年すべてを新しい取組に入れ替える必要はありません。

取組内容の公表も必要です

Ⅰイ・Ⅰロでは、実施した項目と具体的な取組内容について、情報公表制度やホームページ等で外部から確認できる形にする必要があります。

小規模事業者の特例

1法人で1施設・事業所のみを運営するような小規模事業者には、㉔の協働化の取組を行うことで、生産性向上の区分の要件を満たす取扱いがあります。

ただし、この取扱いでⅠロの追加要件まで自動的に満たせるわけではありません。
出典:国通知・職場環境等要件、国の取組項目一覧、国Q&A・問7-1

6.Ⅰロの追加要件は「取組」と「月給」の両方

Ⅰロでは、Ⅰイの要件に加えて、次のAとBの両方を満たします。

A.生産性向上・協働化について、いずれかを満たす

  • 生産性向上の区分で5以上の取組を実施し、⑱と㉑を必ず含める
  • 事業所の法人が、制度上の社会福祉連携推進法人に所属している

⑱は現場の課題の見える化、㉑は業務支援ソフト・情報端末の導入に関する項目です。

㉑では、記録・情報共有・請求業務の転記が不要となるソフトなど、国が示す内容との照合が必要です。「パソコンを持っている」というだけで判断しないようにします。

また、5以上という数は、通常の3項目に別の5項目を追加して合計8項目必要という意味ではありません。

社会福祉連携推進法人への所属についても、一般的な事業者同士の交流や、社労士・行政書士との連携とは異なります。

B.基本給等による賃金改善を行う

原則として、加算Ⅱロ相当額の2分の1以上を基本給等の改善に充てます。

業務改善の取組だけ、給与の改善だけでは、Ⅰロの追加要件は満たせません。両方を確認して取得を検討します。
出典:国通知・令和8年度特例要件

7.令和8年度の誓約措置は、期限までの実施が必要です

令和8年度は、計画書で誓約することにより、申請時点から一部の要件を満たすものとして扱う措置があります。

対象 主な条件
キャリアパス要件Ⅰ~Ⅲ、職場環境等要件 令和8年度特例要件を満たす事業所に、誓約による取扱いがある
キャリアパス要件Ⅳ 年額賃金要件、または職場環境等の14以上の取組について誓約できる
Ⅰロの追加要件のうち、生産性向上の取組・基本給等による改善 誓約による取扱いがある

誓約した取組や整備は、2027年3月末までに実施し、実績報告で報告する必要があります。

 

 

すべての要件を一律に先送りできる制度ではありません。例えば、キャリアパス要件Ⅴの配置等要件まで、この誓約で代替できるわけではありません。

「何を・誰が・いつまでに整えるか」を決め、期限までに実施できる計画を立てましょう。
出典:国通知・各要件の令和8年度の取扱い

8.奈良県・奈良市への届出

要件の確認と併せて、指定権者への届出を準備します。

主に用意する書類

  • サービスに応じた体制等に関する届出書
  • 体制等状況一覧表
  • 処遇改善計画書

算定区分等を変更する場合には、変更届なども確認します。区分が変わらなくても、毎年度の計画書提出が必要です。

年度途中から算定を開始する場合の期限

提出先 2026年度の案内
奈良県 7月以降分は、算定開始日の前々月末日。特定記録郵便等で郵送
奈良市 原則、算定希望月の前々月末日〈営業日〉17時必着。原則郵送。メール・FAXは受付不可

奈良市は郵送について当日消印有効とも案内していますが、書類の不足や確認事項に対応できるよう、期限までに到着する余裕を持って準備しましょう。

奈良県指定と奈良市指定の事業所を併せて運営し、一括した計画を作成する場合も、両方への提出が必要です。相談支援を併設する場合は、市町村への提出も整理します。

様式は年度途中にも修正されるため、提出時には必ず最新版を使用してください。
出典:奈良県・令和8年度届出案内、奈良市・令和8年度届出案内

9.取得に向けて、まず今の事業所の状況を整理しましょう

Ⅰイ・Ⅰロの取得を検討するときは、次の順番で確認すると、必要な準備が見えやすくなります。

  1. 現在の算定区分と、関連する配置加算の状況を確認する
  2. キャリアパス規程・賃金体系・研修・昇給の仕組みを確認する
  3. 年額460万円要件と14以上の取組による代替のどちらで対応するか整理する
  4. 職場環境等の取組数・必須項目・公表内容を確認する
  5. 月額賃金改善の見込みを確認する
  6. 不足する整備と届出のスケジュールを決める

みのり行政書士事務所では、現在の規程や取組を確認し、事業所の実情に合わせた準備をお手伝いしています。

キャリアパス規程や賃金規程の整備は、社労士さんと連携して進めています。職場環境改善も、現場で無理なく続けられる仕組みにすることを大切にしています。

「うちの事業所はⅠロを取得できる?」
「今の規程や取組で、何が足りないのか確認したい」

そのような段階から、お気軽にご相談ください。

取得の準備から、日々の運用を説明できる職場づくりまで、一緒に整えていきませんか。

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